営業部門 実験の概要
実験は、「国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所」が発注した役務を受注し、特記仕様書に基づいて実施しました。
●役務の概要
件 名 | グラップルによるコンクリートブロックつかみ上げ実地実験 |
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役務目的 | 本役務は出水時の緊急復旧工事を想定し、バックホウに取付けるグラップルによるコンクリートつかみ上げの実証実験を行うものである。 |
履行場所 | 北海道開発局札幌開発建設部 米里水防資材備蓄基地 |
履行期間 | 令和元年11月8日~令和2年1月31日 |
契約金額 | ¥3,740,000.-(内、消費税額 ¥340,000.-) |
機械、ブロック等配置状況
ブロックつかみ上げ状況
※写真は、寒地土木研究所提供
●役務(実験)実施の経緯
洪水時、緊急的に堤防の決壊箇所にブロックを投込む場合、クレーン又はバックホウでブロックを吊った上で投入する施工方法が挙げられます。その内バックホウは、保有機械数が多く調達しやすいため早期の工事着手が可能である、他の重機が進入困難な不整地などの現地条件でも稼
働できる等の特徴があることから、近年における北海道内の堤防決壊の現場の多くで採用されています。
但し、そのバックホウによる施工にも以下に示すような課題があります。
- 2.9トンまでの重量物までしか吊ることができず、水防資材として備蓄されている3トンのブロックを吊った上で投入することができない
- 基本的に、決壊箇所の近傍での人力によるワイヤーロープ(玉掛け、玉外し)を使用しての作業となるため、安全管理に細心の注意を払う必要がある
- オートフックの使用により、玉外しを省略する方法もあるが、その場合でも玉掛けは必要で、玉掛けにそれなりの時間を要する
※写真は、「堤防決壊時に行う緊急対策工事の効率化に向けた検討資料(案)の公開」(島田ら、第62回(平成30年度)北海道開発技術研究発表会)より抜粋
グラップルを装着したバックホウで、ブロックを掴んで決壊箇所に投入するのであれば、2.9トンの吊り荷重の制限がない上に、玉掛け、玉外しが不要であるため、ブロック投入の効率と施工の安全性の両方の向上が期待でき、上記の課題が解決できる可能性があります。
そこで、本役務では、グラップルを用いた資材投入方法の検討に向けた知見を得ることを目的に、基礎的な実験が行われました。
※写真は、寒地土木研究所提供
●主な実験内容
実験に用いた、
・グラップル
A:首振りフォーク
(首前後型)
B:全旋回フォーク
(首前後・回転型)
C:4点支持グラップル
(首前後・回転型)
・バックホウ(20tクラス、バケット容量山積0.8m2、油圧配管5系統)
※写真は、寒地土木研究所提供
・ブロック
立体型(2t,3t)
四角型(2t,3t)
実験内容は、
・機械組立
バックホウのアタッチメントをバケットからグラップルに交換する時間や、交換の作業状況の確認を行いました
※写真は、寒地土木研究所提供
・つかみ移動試験、荷揚げ降ろし
運搬されたブロックをダンプトラックの荷台から直接掴むことが出来れば、玉掛け不要となり、ブロック投入作業の効率化につながるため、ブロックを掴み上げることができる作業範囲(作業半径・高さ)の確認を行いました
※写真は、寒地土木研究所提供
・積み実験
決壊口へのブロック投入のサイクルタイムを推定するために、ブロックの掴み・旋回移動・積上げに要する時間を計測しました
※写真は、寒地土木研究所提供
●実験結果(まとめ)
実験の結果、今回用いたバックホウとグラップルでは、数十分でバケットをグラップルに交換できること、3トンのブロックを掴み上げられること、玉掛けを行わずにダンプトラック荷台から直接ブロックの取り上げが出来る可能性のあること、バックホウでブロックを吊る投入方法よりも作業効率が向上する可能性のあることなどが明らかとなりました。